社長とは恋愛しません!
息を切らして、落ち着こうとした。

「どう言う事?7歳年下って、何?」

「いや、それは……」

まさか、30を越した娘が、7歳も年下を捕まえるなんて、思ってもみないだろう。

「あんた、まさか騙したりしてないだろうね。」

「騙してなんかないわよ。言っておくけど、あっちから告白してきたんだからね。」

「へえ。」

お母さんは、ニヤニヤしながら私を後ろから、抱きしめる。

「聞かせてよ。どうやって、7歳も年下の社長を捕まえたのよ。」

「えっ?」

お母さんは、興味深々。

「別に、どうやってって……一緒に仕事していたら、好かれちゃって。」

「そんな訳ないじゃない!何か景子の方から、仕掛けたんでしょ!」

お母さん、もう還暦も近いって言うのに、娘の恋愛に興味持ちすぎだよ。

「いや、本当に何もしていないって。」

「ふーん。で?どんな人?」

これだからお母さんには、彼氏がいる事を知られたくなかった。

昔から、私の恋愛に興味があるみたいで、中学の頃から”好きな子いないの?”と聞いてくるのが、常だった。

それでも昔は、お母さんと恋愛の話をするのが好きで、『こんな人が好きなんだぁ。』と相談しては、二人で盛り上がっていた。
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