社長とは恋愛しません!
そんな均衡が崩れたのは、社会人になってから。

彼氏がいる事をお母さんに報告した。

「まだ、身体は許してないわよね。」

お母さんは、厳しい目で、私を見た。

既に体の関係を持っていた私は、固まった。

「結婚を約束するまで、身体は許しちゃ駄目よ。」


昔の意見なんだろうけど、身体を許す事は=結婚を約束する事らしい。

お母さんの時代は、何気に厳しい時代だったのかな。

その時は、まだ分からないと答えておいたけれど、その彼氏と結婚せずに別れた時には、あからさまにため息をつかれた。

「ねえ、お母さん。今は結婚は遅いか早いかのどっちかなんだよ。」

「だったら、早い方がよかったわね。女は、早く結婚した方が、勝ち組なのよ。」

その時に、世の中の厳しさを知った気がした。

うん。さすがお母さん。

娘に、世の中の厳しさもちゃんと、教えておくのね。


「そうそう。社長って言えば、前の彼氏も社長だったわね。」

私の身体がピクッとなった。

この前、ケリをつけたばっかりだって言うのに、むしかえすなんて。

いや、待て。

お母さんは、それを知らないんだから、落ち着きなさい。私。
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