社長とは恋愛しません!
とりあえず、部屋着を脱いで、まともな服をクローゼットから取り出す。

「いいの?待たせておいて。」

「よくない!」

でも、部屋着を見られるくらいなら、死んだ方がマシだ。


私が着替えている間に、お母さんが玄関の鍵を開ける。

「あら、どうも。景子の彼氏さん?」

「そうです。真田柚季です。」

「どうぞ、入って下さい。」

ちょっと、お母さん!

勝手に入れないで!

慌てて、部屋から飛び出す私。

その瞬間、柚季君と目が合った。


「おはよう、柚季君。」

「おはよう、景子さん。ごめんね、突然伺っちゃって。」

私は精一杯の笑顔を振りまいた。

「いいの!いつでも来て。」

ニコッと笑った私を、お母さんは影で笑いながら、柚季君をリビングに通す。

「コーヒーと、紅茶。どちらがいいかしら。」

「コーヒーをお願いします。」

お母さんもう、この家に馴染みすぎだよ。
< 168 / 295 >

この作品をシェア

pagetop