社長とは恋愛しません!
そして柚季君は、背中を正して、お母さんを見た。

「まだ、景子さんと付き合って、間もないんですが、僕はこのままいけば、景子さんと結婚したいと思っています。」

「えっ……柚季君!」

私は戸惑う中、お母さんだけがきゃーきゃーと、喜んでいる。


「但し、時期的な事もあると思いますので、今は見守っていてください。お母さん。」

ニコッと笑った柚季君は、完璧な対応をした。

えっ?私と柚季君が、結婚!?

「では、これで今日は失礼致します。」

「まあまあ、大したお構いもできませんで。」

私とお母さんが、玄関まで柚季君を見送る。

まだ、柚季君の結婚発言に、茫然としている私。

「という訳だから。景子さんも、覚悟決めておいてね。」

柚季君はそう言って、私の家を出て行った。


「いい人だったわね。」

「うん。」

まだ玄関に立ちすくむ私の背中を、お母さんはバシッと叩いた。

「これ逃したら、もう結婚できないかもしれないからね。」

いつもは、”分かってるわよ”って言えるのに。

どうしてだろう。不安が押し寄せるのは。
< 170 / 295 >

この作品をシェア

pagetop