社長とは恋愛しません!
「はい?」

私はまだ社長の椅子に座っている、森脇副社長を見た。

「君、社長と付き合っているんだって。」

「……どうして、知っているんですか。」

「社長に聞いた。やっと、君と付き合えたって、喜んでいたよ。」

柚季君が、そんな事を。

やだ、嬉しい。

「気を悪くしないで欲しいんだけど、君は一般家庭の出身?」

「はい。普通の家柄です。」

「へえ。それで?社長とは、どこまで話が進んでるの?」

今日は何故か、質問が多いな。

いつも副社長に会っても、”お疲れ様”としか、言われないのに。

「どこまでと言いますと?」

「例えば、結婚とか。」

ここは正直に言った方がいいの?

でも、副社長は悪い人ではないし。

そんな警戒しなくても、いいかな。

「……一応、そんな話は出ていますけど。」

「ははは。」

副社長は、大きな声で笑った。
< 182 / 295 >

この作品をシェア

pagetop