社長とは恋愛しません!
「訴えますよ。」

「誰に?」

「社長にですよ!」

すると副社長は、ソファーを思い切り叩いた。

「何かあればすぐ、柚季君か。」

私の身体がビクつく。

「まあ、いいよ。本当に結婚できると思ってるんだったら、せいぜい夢でも見てれば?」

副社長はそう言うと、立ち上がって社長室を出て行った。


一人残された私は、惨めだった。

今まで、柚季君に愛されて、調子に乗っていたのかもしれない。

自分が、柚季君に相応しいかなんて、忘れていた。


その時、社長室のドアが開いて、柚季君が帰って来た。

「ただいま、景子さん。」

柚季君は、笑顔で私を抱きしめてくれた。

「あれ?景子さん、泣いてる?」

私は、ううんと首を横に振った。

「何かあった?俺がいない間に。」

そして柚季君は、灰皿に一本だけ残された煙草の残骸を発見した。

「もしかして、明彦さん来てたの?」
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