社長とは恋愛しません!
でも、話ができるのは、ここまで。

副社長が言っていた、”俺と結婚すれば?”と言うのは、柚季君には黙っておこう。


「ところで、いつまで私を抱きしめているの?」

いつまでも離れない柚季君を、私は引き離した。

「あっ、バレた?今日の会合でさぁ。娘と結婚しろって、うるさい人がいて。」

うわー。タイミングいい。

その話、ぜひ聞きたい。

「それで?」

「もちろん、断ったよ。俺には好きな人がいるってね。」

「よし!」

私がなんとなく、ニヤニヤしながら、自分のデスクに戻った。

お嬢様よりも、私か。

政略結婚よりも、恋愛結婚!

うん、その方がいい!


「でもなぁ。写真見せて貰ったけれど、結構可愛い人だったな。」

「なぬっ?」

私は、柚季君を見つめた。

「歳も同じなんだよね。景子さんがいなかったら、俺、受け入れてたかも。」

笑顔の柚季君に、ペンを投げつけたのは、嫉妬にかられたからだ。
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