社長とは恋愛しません!
「それにしても、明彦さん。余計な事言って。」

シャツを直し、上着を着直す柚季君は、ちょっと不貞腐れている。

「今度会ったら、景子さんを虐めるなって、言っておかないと。」

「お願いします。」

すると柚季君は、私の頭をよしよしと撫でてくれた。

年下の男の子に、撫で撫でされるのって、何だか不思議。

「よし。今日は、美味しい物食べて、帰るぞ!」

「おお!」

柚季君と二人、手を上に上げて、ウキウキ気分。

とりあえず、髪を直し、2人一緒に社長室を出た。


ビルの前に来ると、柚季君が左手で私を押さえた。

「ここで待ってて。タクシー、捕まえてくる。」

「うん。」

柚季君が道路の脇に行って、タクシーを捕まえようとしている。

それを見ていると、頼もしいと思った。

その時だった。

「うわっ!」

近くで、カバンの中をぶちまけている人がいた。

「大丈夫ですか?」
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