社長とは恋愛しません!
道端に散らばっている紙や物を拾い上げて、その人に渡した。

「ありが……」

その瞬間、その人は私の顔を見て、目をパチッとさせた。

何だろう。

そしてその人は、渡した物をカバンの中に入れると、立ち上がった。

私もそれにつられて、立ち上がる。

「ありがとう。お礼に、食事でもどう?」

「えっ?」

あまりの軽快な誘いに、びっくりした。

「ああ……お気持ちだけ、受け取っておきます。」

「いいでしょ?一度くらい。」

すごい、押しの強い人だな。


その時、柚季君が手を振った。

「景子さん、タクシー来たよ。」

「はーい。」

私もそれに応えるかのように、手を振る。

「じゃあ、私行くので。」

「ああ!」

するとその人は、私の腕を掴んだ。
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