社長とは恋愛しません!
「仕事?」

『ウチの会社で、秘書をしてくれないか?』

「お断りします。今の会社で、満足していますので。」

そう言って、電話を切った。

ふーっと、息を吐く。


「景子さん?」

階段の下から、柚季君が私を呼んでいる。

「今、行く。」

私はスマホを片手に、階段を降りた。

「随分短い電話だったね。」

うっ、そこまで気づくなんて、さすが社長になる人は違う。

「あー、飲みに行かない?って誘われたんだけど、断ったの。」

「何で?」

「だって、柚季君と一緒にいたいもん。」

その時の、柚季君の笑顔。

あー、やっぱりはまるなぁ。

「柚季君はさ、もし私が他の会社で働いていたら、どう思う?」

「うーん。」

考えながら柚季君は、ドライヤーの電源を、コンセントに差し込んだ。

「率直に、会う時間は減るよね。」
< 216 / 295 >

この作品をシェア

pagetop