社長とは恋愛しません!
「そうだよね。」

「あっ、でもプライベートの時間を増やせば、問題ないじゃない?」

そして、柚季君はドライヤーのスイッチを入れ、私の髪を乾かし始めた。

「週末は一緒にいるから、平日に会う時間を作るとか。」

「そうなると、半同棲みたいだね。」

言って、ハッとした。

振り向くと、柚季君はニヤッとしている。

「いいね、半同棲。」

「いや、もし私が他の会社で、仕事をしていたらね。」

同じ会社の、同じ部屋で、一緒に仕事しているのに。

平日も会うなんて、どれだけ柚季君にはまればいいんだ?


「はい、乾かし終わった。」

「ありがとう。」

私の髪を乾かして、柚季君は自分の髪を乾かし始めた。

サラサラの髪が、風に踊る。

こんな風景を見ていられるなんて、なんて贅沢だ。

「そんなに見つめられると、穴が開いちゃうよ。」

「あっ、ごめん。」

私は、柚季君から視線を反らした。
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