社長とは恋愛しません!
私は、下を向いた。

柚季君には、知られたくなかった。

「どうして、言わなかった?」

「断ったからだよ。今の会社で、満足しているからって、断りました。」

柚季君は、私から離れると、自分のデスクに戻って行った。

「他には?」

「えっ?」

「口説かれたんだろう?白鳥社長に。」

胸がざわつく。

何で、そこまで柚季君が、知っているの?


「明彦さん、白鳥社長と取引があるんだ。」

「何ですって?」

あの人、社長である柚季君を差し置いて、他の会社の社長と取引しているなんて!

許せん!

「今日の会議が終わった後に、言われたよ。社長の秘書は優秀ですね。他の会社から、引き抜きがかかるなんてって。」

「すみませんでした。」

私は、柚季君に頭を下げた。

「でも、お断わりしたので、安心してください。」

柚季君は立ち上がると、私の肩を叩いた。
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