社長とは恋愛しません!
「俺が怒っているのは、どうして相談してくれなかったんだって事だよ。」

「えっ?」

私が顔を上げると、柚季君は神妙な顔つきをしていた。

「未来社と言えば、ウチの会社に比べたら、大きな会社じゃないか。」

「そんな事は、ありません。」

「でもっ!」

柚季君は真っすぐな瞳で、私を見つめた。

「君のキャリアに、プラスになる事だったら?あの時、未来社に行っていればよかったって、後悔しないか?」

私は、ふぅーっと息を吐くと、ニコッと笑った。

「後悔はしません。私は、社長と一緒に仕事をするって、決めてるんですから。」

「景子さん……」


ああ、この人は。

私を失うなんて、これっぽちも考えていない。

それどころか、私のキャリアでさえ、一緒に考えてくれる。

普通、彼女のキャリアなんて、一緒に考えないでしょ。

自分よりもキャリアが上になったら、嫌だし。

それとも、自分が社長だから?


「何が、可笑しい?」

「いや、柚季君って。本当にいい人だなぁって思って。」

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