社長とは恋愛しません!
会社のビルを出て、タクシーを捕まえた。

「真田コーポレーションのビルに、行って下さい。」

「はい。」


いつからだった?

いつから、おかしかった?

柚季君、そう言えば最近、私を抱く時に笑顔がなかった。

きっと、私が会社にいればって、思っていなかった?

私は、知らずに。柚季君に、辛い思いをさせていなかった?


真田コーポレーションのビルに着き、私は受付で事情を話して、社長室に向かった。

「景子?」

「柚季君……」

はぁはぁと息が上がっている私を、柚季君は迎えてくれて、ソファーに座らせてくれた。

「どうした?仕事は?」

「早退してきたの。あの!真田コーポレーションが潰れそうだって、本当なの?」

柚季君が、茫然としている。

「本当なのね。」

すると柚季君は、力なく笑ってうつむいた。

「景子の為を思って、外に出したのに。景子がいないと、これだ。」
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