社長とは恋愛しません!
そして、タクシーは東側の住宅街に来た。

「俺の自宅は、この辺なんだけど、君の自宅は?遠いの?」

「お気遣いなく。」

うっかり男性に自分の自宅を、知られたくない。

まあ、7歳も年下の社長に知られても、何の支障もないとは思うけれど。

一応ね。


すると社長の手が、私の右手に伸びて来た。

もう少しで触れそうなところで、止めてある。

これは、手を触れたいって事?

胸がキュンとした。

いっそ、思い切って握ってくれればいいのに。

いやいや、社長には花音ちゃんって言う彼女がっ!


「……俺の家に寄っていかない?」

「えっ……」

私は社長の顔を見た。

社長は、タクシーの窓を見ている。

窓に映っている顔は、どことなく照れくさそうで。

私は、”はい”と返事をしてしまった。
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