社長とは恋愛しません!
「柚季君……」

「ふと明彦さんが社長だったら、違うのかなって、思う時があるんだ。」

ああ、何で一緒に住んでいて、そんなところにも気づけなかったんだろう。

家で仕事の話をしなかったのは、家庭に仕事を持っていかないんじゃない。

話せなかったんだ。

「……っ。」

「景子?」

私の目から、涙が溢れた。

それを見て、柚季君が私の側に、座り込む。

「ごめんね。私がこんなんだから、気づいてあげられなくて。」

「違うよ。景子は、家の事よくやってくれてるよ。」

「でも、社長である柚季君を支えられないのなら、私のいる意味なんてないよ。」

すると、柚季君は私を抱き寄せてくれた。


「景子は、社長である俺が好きなの?」

私は、身体が固まった。

「社長じゃない俺は、側にいたくない?」

私は、首を横に振った。

「違うよ。誰よりも、柚季君が社長に相応しいって、思っているからだよ。」

そうだよ。私にとって社長は、柚季君以外に考えられない。
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