社長とは恋愛しません!
そして手慣れた感じで、社長はコーヒーを淹れた。

「はい。」

コーヒーカップを手渡しされて、一口飲む。

「美味しい……」

「だろ?」

無邪気に笑う社長の笑顔が、眩しい。


「景子さん。」

ドキッとした。

急に、名前で呼ぶなんて、どういう意味?

しかもどんどん、私に近づいているんですけど。

「俺の事、どう思ってる?」

もしかして、私、ロックオンされている!?

「あの、社長。落ち着きましょう。」

私は、社長から離れて、コーヒーカップを持って、ソファに向かった。

「これでも、落ち着いているよ。」

「いえ。私を口説こうとしているなんて、冷静ではありません。」

そうだよ。

だって、私この前、会ったばかりだよ?

今日は、女優の石坂花音と会ったばかりだよ?

どう考えても、彼女の方がいいでしょ。
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