社長とは恋愛しません!
私と柚季君は、勢いよく頭を横に振った。

だって、やってるとは言えない。

「大体、肉体関係を持っている者同士が、一つの部屋に二人きりだなんて。そんな環境が良くないのよ。」

なるほど。

これはきつい。

お母さんがそう言うのならいっそ、私は別部署に。

私は、チラッと柚季君を見た。

「だけど。俺達、ちゃんとそれぞれの仕事をしているよ。」

柚季君、対抗に出た。

「分かってくれよ。仕事のパートナーとして、景子が必要なんだ。」

「柚季君……」

すると丁度ケーキを食べ終わったお母さんが、立ち上がった。

「柚季の思うようになさい。でも、お母さんは反対だからね。」

そう言って玄関に行ったと思うと、もう家を出て行ってしまった。


「柚季君。」

「いいんだよ。母さんは、お嬢様育ちだから、我が侭なところがあってね。」

そう言うと柚季君は、私をぎゅっと抱きしめてくれた。

「母さんと、仲良くしようとしてくれて、ありがとう。」

「ううん。だって、柚季君のお母さんだもん。」

本当は、ちょっと苦手な人だけど。

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