社長とは恋愛しません!
それから数日間、昼間の時間に、柚季君のお母さんから電話が入るようになった。

「はぁーっ。」

電話が終わると、柚季君は疲れたように、ぐったりしている。

「どんな内容のお話だったんですか?」

尋ねると、柚季君は少しだけ微笑んだ。

「何でもないよ。ただの世間話。」

柚季君が、気を遣っているのが分かる。

きっと、私が側にいるのか、しつこく聞いてきたり、他の部署に回せとか、他の秘書を雇えとか、言われているんだろうなぁ。

それを私に伝えないようにしてるって、柚季君。健気だ。


「私、やっぱり別な部署に行った方が……」

「駄目だって言ったでしょ。景子は、俺の側にいるの。」

そう言う柚季君は、本当にカッコ良くて。

胸がキュンとしてしまうんだけど。

まさか、母親の方が子離れできないなんて。


「柚季君のお母さんって、いくつなの?」

「そんな若くないよ。55歳だったかな。」

「えっ!?55歳?」

ひぇー!美魔女だよ、美魔女。

アラフォーにしか見えなかった。

そんな美魔女お母さんが、なぜ55歳にもなって、子離れできないの?
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