社長とは恋愛しません!
「父さんもまだ、無理させられないし。」

そうなのだ。

柚季君のお父さんは、まだ退院したばかりなのだ。

「だったら、結婚式はそんなに急がなくてもいいんじゃない?」

そう言うと、柚季君がソファーに座った。

「俺、景子と一緒に暮らす時、景子のお父さんに、挨拶しなかったでしょ。」

「ええ、まあ。急に決まったから。」

「父親の立場としては、やっぱり結婚するのかしないのか、はっきりして欲しいと思うんだ。」


何だか、胸がじーんとしてきた。

私のお父さんの事、そこまで考えてくれていたなんて。

「だから早く結婚して、景子のお父さんを安心させてあげたいんだ。」

「柚季君。」

私は柚季君の隣に座ると、ぎゅっと彼を抱きしめた。

「ありがとう。そこまで考えてくれて。」

「当然だよ。」


そして、柚季君も私をぎゅっと、抱きしめてくれた。

この先、何があっても、柚季君の隣を離れないと誓った。

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