社長とは恋愛しません!
翌週、柚季君が両親に挨拶したいと言うので、実家にやってきた。

柚季君は細身のスーツを、ばっちりと決めている。

「あー、緊張する。」

「お父さんに会うのは、初めてだもんね。」

大丈夫かな。

ウチのお父さんは、個性的な人じゃないから、大丈夫だと思うけれど。


「ただいま。」

玄関を開けると、お母さんが迎えに来てくれた。

「お帰りなさい。えーっと、確か柚季君でしたよね。」

「はい。初めまして。」

柚季君は、お母さんに頭を下げる。

「まあまあ。こんなに若い人だなんて、信じられないわ。」

「ははは。」

ちょっと気まずさを感じながら、お父さんの待つ居間へと向かった。

なんかやっぱり、私も緊張してきた。


「お父さん。」

居間に入ると、お父さんがお茶を飲みながら、待っていてくれた。

「失礼します。」

柚季君は、正座をして頭を下げた。

「初めまして。真田柚季と申します。」

「あー、頭を上げて。」

「はい。」

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