社長とは恋愛しません!
「いいえ。」

私は、安心した。

よかった。社長、怒ってないみたい。


「でも、俺の買い物には、付き合ってくれる?」

「いえ、仕事は……」

「終わらせた。」

社長は、デスクの上にある書類を持ち上げて、ピシッと弾いた。

「社長の買い物に付き合うのは、秘書の役目だよ。」


その笑顔、ズルい。

結局私は、社長の買い物に、ついて来てしまった。


「ここがいいな。」

タクシーで向かったのは、高級店が並ぶ商店街。

社長が選んだお店は、女性物の服を扱っている場所だった。

「あの、ここは社長が着るような洋服を、売っていないのでは。」

「ああ、君が着るドレスだからね。」

「ええっ!?」

社長が店員さんに耳打ちすると、その店員さんは、奥からいくつかドレスを持って来た。

「如何でしょう。」

「本人が着てみないと、分からないな。」
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