社長とは恋愛しません!
ひー!早く玄関を開けなきゃ!

鍵に手を掛けた瞬間だった。

「待てって、言ってるだろう。」

後ろから、社長に抱き締められた。


社長のドキドキが、伝わって来る。

「どうして、逃げんの?」

「逃げてなんか。」

「じゃあ、もっと側にいろ。」

社長のドキドキと、私のドキドキが重なる。


社長の甘い吐息が、首筋にかかる。

社長、興奮してる⁉

顔が近づいて、社長の唇が私の唇と重なる。


ああ、私……社長とキスしてる。


唇が離れると、私は社長の腕を放して、玄関のドアを開けた。

「景子さん!」

社長の声を背に、私は社長の家を後にした。
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