社長とは恋愛しません!
会社に戻った社長は、機嫌が悪かった。

「社長?」

振り返った社長は、私を冷たい目で睨んでいる。

嘘ッ!

副社長に頬を触られそうになった事、まだ怒ってるの!?


「機嫌悪そうですね。」

「当たり前だ。」

社長は、もう一本買ったビタミンドリンクを、ドンッと机に置いた。

「あのっ!どうしたら、機嫌直してくれますか?」

ジーっと私を見る社長の視線が、怖い。

「そうだな……君から、キスでもしてくれたら、機嫌直るかも。」

「えっ!?」

ここで、キス!? ここ、職場だよ!?

「ほら、どうした?俺に機嫌直して欲しいんだろ?」

ジリジリと、社長が迫ってくる。

私の中で、何かが固まった。

「……止めて下さい。」

社長の視線が、一瞬止まった。

「いくら何でも、悪ふざけし過ぎです。」

私はそう言うと、自分のデスクに戻った。
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