社長とは恋愛しません!
それから神崎社長は、片時も私の側を、離れたりはしなかった。

仕事中も、いつも同じ部屋で、席は隣同士。

二人の将来の事を話すのが、とても楽しかった。


「家はどうする?一軒家?それともタワーマンション?」

「神崎社長の思うように。」

「景子の好きな方を、選びたいんだよ。」

自分で言うのも何だけど、神崎さんに愛されていると、強く思っていた。


連れて行ってもらったパーティーでも、私は特別扱いされた。

神崎社長は、いつも私をエスコートしてくれた。

「おっ、神崎君。いい女連れてるね。」

「そうでしょ。俺の彼女なんです。」

そう言って神崎さんは、私を自慢していた。

そんな神崎さんが、自慢の彼氏だった。


それが傾き始めたのは、会社の経営が上手くいかなくなってからだ。

秘書をしていると、売上報告書などを見る事がある。

明らかに、売り上げが落ちているのだ。

「大丈夫、大丈夫。」

神崎さんは、笑ってそう言っていた。
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