社長とは恋愛しません!
それがだんだん、笑えない状況になってきて、神崎さんから笑顔が消えた。

残業する事も多くなって、私との時間も次第に、少なくなっていった。


「景子。ごめんな、時間取れなくて。」

「いえ。お仕事頑張っている社長が好きです。」

そう言った時、神崎さんは無理に笑顔を作っていた。


そして、経営悪化を理由に、社員が大量に辞めた。

中には、部長職などの人もいた。

その時の神崎さん、見ていられないくらいに、落ち込んでいた。


「神崎社長。」

話しかけると、私をぎゅっと抱きしめてくれた。

「ああ、景子を抱きしめると、勇気が湧いてくる。」

私はこの人の、力になっているんだと、心の底から嬉しかった。

誰かの力になれるような、愛になりたい。

そう思っていたから。


だけど、神崎さんの中で、何かがプツンと切れてしまったようだ。

神崎さんは、突然倒産の申請を出してしまった。

ここまで付いてきてくれた社員も、一斉解雇。

もちろん、私も仕事を失った。
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