社長とは恋愛しません!
私は今度こそ、恋愛ができなくなるかもしれない。


「君。」

「はいっ!」

気が付くと、社長が私のデスクに来ていた。

「ボーっとしていたけれど、何かあった?」

「いえ。何も。」

まさか、神崎さんの事を思い出していたなんて言えない。

「具合が悪いのなら、心配だよ。」

「いいえ。大丈夫。ちょっと……昔の事を思い出していて。」

「昔の事?」

社長は、興味満々で私を見てくる。


「あっ、いえ。昔は、大変だったけれど、今はアプリもあって、仕事が簡単になったって。」

「へえ。そう言えば君は、前も秘書の仕事をしていたんだもんね。」

「はい。」

あまり昔の事には、触れて欲しくない。

その時、社長の匂いが、ふぁっと香ってきた。

気づくと、私の側に、社長の顔がある。

「知りたかったな。その時の景子さん。」

「別に、普通ですよ。」

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