社長とは恋愛しません!
「女将さんは、小さい時から社長を知っているんですか?」

「小さい頃というか、高校生ぐらいだったと思うわ。初めて会ったのは。」

ニコニコしている女将さん。

どこか、気さくそうだ。

「……社長に裏切られたんです。」

「まあ。お坊ちゃんが、あなたを裏切ったの?」

すると女将さんは、私の肩に手を乗せた。

「許してあげてちょうだい。」

女将さんは、そう言うとペコッと頭を下げた。

「何があったか分からないけれど、お坊ちゃんはいい人よ。きっと、あなたを想い過ぎたのね。」

「想い過ぎた……」

「廊下を歩くあなた達を見て、思ったわ。お坊ちゃんは、このお嬢さんの事、とても大切にしているって。」


社長は今までだって、私に親切にしてくれた。

女将さんが言う通り、悪い人ではない。

私があまりにも、社長と恋愛しないと言ったから、社長は気にして。


「ありがとうございます、女将さん。」

「あら、これで済んだ?」

「はい。」

私は急いで、社長がいる部屋に戻った。

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