社長とは恋愛しません!
社長は、私の過去を知りたいくらい、私の事を好きになってくれている。

そんな人、今までにいない。

私は、部屋の戸を開けた。

「社長。」

見ると社長は、上着を脱ぎ、ネクタイを外して、ぐったりしていた。

「えっ?社長、どうしたんですか?」

慌てて社長の元に駆け寄ると、社長の目がすわっていた。

「景子さん。」

そう呟くと、社長は私の肩に、頭を置いた。

「よかった。戻って来てくれて。」

「社長……」

顔を上げた社長は、いつもの笑顔に戻っていた。

「ごめん。本当にすまない。景子さんの言う通りだ。聞きたかったら、直に君に聞くべきだった。」

そして社長は、私を抱きしめてくれた。

「なのに俺は、君に聞く勇気もなくて。小さい男だ。」

「そんな事、ないです。」

私は社長の顔を見た。

「社長は、いい人です。女将さんが言ってました。」

「女将が⁉」

急に我に返った社長を見て、可愛いと思った。

そんな社長に、私は自分から今日、3回目のキスをした。
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