社長とは恋愛しません!
「家にシェフって……」

呼んでいいものなの?

「ははは。びっくりした?俺の知り合いに頼んだんだ。」

肝心の社長は、上着を脱いで、ネクタイを外した。

「さあ、お嬢さん。こちらの椅子にどうぞ。」

社長自ら、椅子を引いてくれる。

「ありがとうございます。」

「あっ、上着も預かるよ。」

そう言って社長は私の上着を、ハンガーにかけた。

至れり尽くせりだ。


「では、シャンパンから。」

シェフがシャンパンを注いでくれる。

「知ってる?シャンパンって、フランスの、シャンパーニュ地方でしか作られないんだよ。」

「へえ!」

社長のうんちくに、感動する私。

知らなかった。フランス産のスパークリングワインって、どれもシャンパンだと思っていた。

「これは、正真正銘のシャンパン。アンリオ ブリュット・スーヴェランって言うんだ。」

途端に目の前の飲み物が、高級に見えてくる。

本当に飲んでいいのかしら。

「遠慮せずに、楽しんで。今日は、景子さんの為に、シェフを呼んだんだから。」
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