キミの隣は特別席
「野菜とか切ってくれない?」
「いいけど、キッチン使っていいの?」
「いいよ。」
後ろを振り向くと、ラフな格好をした優一が立っていた。
田中さんがキッチンまで運んでくれたダンボールの中にはいろいろ食材が入っていた。
「あいつら、包丁持ったことないから・・・」
「えっ?!」
…包丁持ったことがない?!
「家に、使用人がいるからな。俺んちは前までいたけど」
「前までいた?」
と絢が聞いた。
「俺、10コ上の兄貴がいるんだけど、兄貴が使用人たちを一気にクビにしたから。」
「あの、優しそうなお兄さんが?」
「切れたら怖いよ、優輝兄さんは。あの時本当に怖かったもん!」
と冷蔵庫を開けながら雪音ちゃんが言った。
…あの時?
.