キミの隣は特別席

「マナとでいいんですか?」

娘をそんな風に言うか?

「はい。自分の家のことは別に考えてませんから。
今一人暮らししてますし。」

「一人暮らしですか?」

「はい。この近くに春沢所有のマンションがありましてそこに。」

「そうなんですか…もしかして、夏に旅行に行ったの!?」

「旅行は俺の友人と佐原さんがいましたから。ご心配なく。」

…早く帰りたくなってきた。






「帰りました!父さん、連れてきたよ」

マナの姉さんが帰ってきた。お姉さんの後ろには男の人が立っている。

「あっ、おかえり、りん。」

マナのお姉さんが夏に言ってた結婚する相手かな?
挨拶にきたのか…


「あの俺はこれで失礼します。」

俺がいない方がいいだろう…

立ち上がって玄関に向おうとした時

「よかったら、ご飯食べていきません?」

マナの母親に呼び止められた。

「いえ、今日は帰らせて頂きます。兄に呼ばれていますので。」

呼ばれてなんかないけど

「そうなんですか。マナ送っていきなさい!」

「えっ!?分かった。」

マナが立ち上がって、俺の後ろについてきた。



俺が帰ったあと、お姉さんの彼氏さんは言うんだろうな…






.



< 211 / 342 >

この作品をシェア

pagetop