キミの隣は特別席
「マナとでいいんですか?」
娘をそんな風に言うか?
「はい。自分の家のことは別に考えてませんから。
今一人暮らししてますし。」
「一人暮らしですか?」
「はい。この近くに春沢所有のマンションがありましてそこに。」
「そうなんですか…もしかして、夏に旅行に行ったの!?」
「旅行は俺の友人と佐原さんがいましたから。ご心配なく。」
…早く帰りたくなってきた。
「帰りました!父さん、連れてきたよ」
マナの姉さんが帰ってきた。お姉さんの後ろには男の人が立っている。
「あっ、おかえり、りん。」
マナのお姉さんが夏に言ってた結婚する相手かな?
挨拶にきたのか…
「あの俺はこれで失礼します。」
俺がいない方がいいだろう…
立ち上がって玄関に向おうとした時
「よかったら、ご飯食べていきません?」
マナの母親に呼び止められた。
「いえ、今日は帰らせて頂きます。兄に呼ばれていますので。」
呼ばれてなんかないけど
「そうなんですか。マナ送っていきなさい!」
「えっ!?分かった。」
マナが立ち上がって、俺の後ろについてきた。
俺が帰ったあと、お姉さんの彼氏さんは言うんだろうな…
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