鮮やかなもの
しばらくの後、

「わかった。
いくら借りればいいの?」

涙を拭いて、優心は言った。

「兄ちゃんは借りれるだけ借りてほしいって言ってた」

「2ケタ?3ケタ?」

「…3ケタ」

申し訳なさそうに類は言った。

「はぁ!?」

これにはさすがの優心も声を荒らげた。

「ゆっこちゃん、落ち着いて」

「これが落ち着かずにいられる!?
3ケタなんてあたし、返せないよ…」

「あ、それは兄ちゃんが返すって言ってる」

優心は類が好きだ。
そんな類の頼み事なら、可能な限りなら叶えてあげたい。

そう、思った。

だけど、今は、この借入の事に関しては後悔している…。
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