鮮やかなもの
心に火がついた日
義家族を殺してやりたい…。

そう思ったのは一体いつだったか。

もう覚えていないけれど、妄想の中では何十回も殺している。

でも実際にはしない。

そう思っていた…。

あの日までは。

ある日、千幸(ちゆき)が2階の階段の壁に落書きをしたのを見た萌美(めぐみ)は子ども相手に烈火の如くキレた。

「何やってんの!
リホームしたばかりなのに!」

何も言わない千幸に、萌美は千幸を階段から落としたのだ。

「千幸!!」

優心は千幸に駆け寄った。

「大袈裟」

萌美はそう言ったが、打ちどころが悪く、千幸は亡くなってしまった。

千幸が亡くなったのに、

「また子どもを作ろう」

悲しむ様子を見せず、そんな事を言う類の頬を優心は叩いた。
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