鮮やかなもの
幸せだったあの頃
「どうしよう、類(るい)くん。
妊娠(でき)ちゃった」

20歳で、妊娠をした優心(ゆうこ)。

不安そうに、彼氏の類を見る。

「何を迷ってるの?
結婚しよう、ゆっこちゃん!」

「うん」

嬉しそうに優心は頷く。

初めての妊娠と出産で不安はあったものの、いつだって類がサポートしてくれた。

「ね、類くん。
いつもありがとうね」

「なに言ってんの。
当たり前じゃん」

類は、優心の髪の毛を優しく撫でた。

「ふふ、大好き」

「俺も」

いつも類は優心に優しくしてくれた、愛してくれた。

欠点があるとすれば、優心と同じくらい類は自分の家族を想っていた。

それがあんなにつらいなんて思いもしなかった…。
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