鮮やかなもの

毎日の事に優心はすっかり参ってしまった。

そんな時、いとこの願(ねがう)と叶(かなえ)から聞いたのは、いわゆるワンオペで疲れた母親が子どもの口に座布団を当てたという話。

その瞬間、もしかしたら自分もしてしまうかもしれないという恐怖に襲われた。

類が帰ってくるなり、

「類くん、あたし怖い…」

優心は類にいとこから聞いた話、そして自分は精神的に追い詰められている事、全てを話した。

「ん〜、じゃあうちの家族と同居する？」

何気ない類の言葉が、この時は天使の誘いに聞こえた。

「母さんや父さんは仕事だけど、妹がいるし、人が家にいれば安心するんじゃないかな」