凍りついた私は腹黒い王子殿下の執着愛に溶かされる
「かわいい。そういうの全部に煽られるんだよ」
 じゃあどうしたらいいの!? おとなしく言うことを聞いたら、あっという間に王子の思い通りにされちゃうじゃない!

「こ、心の準備が!」
 私は殿下をぎゅーっと押し返しながら言った。

「準備しなくていいから」
 私はソファに押し倒された。
 なんでこんなことになってるの!?

「これ以上の抵抗は反逆とみなす。両親も罪に問われるかもね。それは嫌でしょ」
 無茶苦茶じゃない!
 だけど両親を盾にされたら、私にはどうしようもない。

 殿下がドレスに手をかけたとき。
 こんこんこん、とノックされる音が響いた。

「失礼します、殿下、国王陛下のお召です」
 ドア越しに声が聞こえる。

「こんなときに!」
 殿下は怒りながら立ち上がった。

 私はほっとしてソファに座り直す。
 殿下が応対に出ると、そこには陛下の侍従がいた。恭しくお辞儀をしてから言う。

「陛下がお召です。お目ざめあそばしたご令嬢をお連れするようにとのことです」
 一難去ってまた一難。今度は国王陛下とご対面なんて。

 私は深くふかーく、ため息をついた。
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