凍りついた私は腹黒い王子殿下の執着愛に溶かされる
「殿下、どうして!?」
「ここは俺の部屋と繋がっている。昼間は邪魔が入って残念だった」

 殿下が扉を閉めると、そこはただの壁のようになった。

「邪魔って」
 殿下は長椅子の私を抱き上げ、天蓋つきのベッドに横たえる。

 その上にのしかかるようにして私を見下ろす。
 広いベッドはふかふかで、二人分の重みにやらわかく沈んだ。

「続きをしようか」
 甘い微笑に、私の心臓が止まりそうになった。
 さらさらの金髪が顔にかかり、青い瞳はまっすぐに私を見つめている。

「ですが……」
「また「ですが」か。ですがを法律で禁止にしようか」

 殿下の顔が近付き、私は思わず顔をそむける。
 かまわず、殿下は私の頬にキスをする。

 私の心臓が激しくその存在を主張する。痛いくらいの鼓動に、私の呼吸は自然と荒くなった。

「お願いです、今日はお許しください。いろいろありすぎて、これ以上は」
 私は顔を背けたまま、そう言った。

「俺は十三年も待ったのに」
 不服そうに言い、彼は体を離した。

「でも、確かにそうだな。目覚めたばかりで無理をさせるわけにはいかない」
 殿下の言葉に、私はほっとした。
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