凍りついた私は腹黒い王子殿下の執着愛に溶かされる
「今日はゆっくり休め。異常があればすぐに言えよ」
「はい」

「愛してるよ。おやすみ」
 愛してる!?

 耳を疑う私の隣に殿下が寝転がった。

 どうして!?
 私は硬直した。

 殿下はとろけそうな笑みで私を見ていて、心臓の早鐘がさらに早くなった。

「あ、あの……」
 部屋に戻らないのだろうか。どうしてここに横になるんだろう。

「昔は一緒に寝たこともあるのに。ダメか? いや、ダメなことはないよな。婚約者なんだし」
 え!? 一緒のベッドで寝るの!?

「手ぐらいは握らせてくれるよな」
 見つめられ、私はもうなにも言えなかった。

 アクアブルーがこんなに甘く見える日が来るなんて、予想もしたことがない。

 殿下に手を握られ、おさまらない鼓動に困惑しながら目をつむった。
 とうてい、眠れそうになかった。





 気が付いたら朝になっていた。
 殿下はすぐに眠りについたようだったが、私はぜんぜん眠った気がしない。

 なんとかうつらうつらして、ぼうっと朝を迎える。
 目の前には、眠っている殿下。

 寝顔すら美しくて、うっとりと見とれた。
 窓から差し込む朝日に金髪がきらきらと輝いている。

 私は手を伸ばし、そっと撫でてみた。
 やわらかい髪だった。
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