凍りついた私は腹黒い王子殿下の執着愛に溶かされる
「殿下がわざと凍らせたって聞いたことあるけど」
「やだ、殺そうして失敗したってこと?」

「待ってよ、そのとき殿下はまだ七歳でしょ?」
「女が殿下を好きだったって聞いたことあるけど」

「七歳をたぶらかしたってこと?」
「それで、魔力が暴発するように仕向けたとか? 責任とらせるために」
「うわあ、信じられない。死ぬかもしれないのに必死すぎ!」

 私は愕然とした。
 私、殺されかかったの?

 でも、私がたぶらかしたとかいう話も出てるし、いったいなんなの?
 メイドたちはわいわいと話しながら遠ざかっていく。
 私は一歩を踏み出せずにただ立ち尽くしていた。





 部屋に戻った私は長椅子に腰掛け、殿下の魔力が暴発したときのことを必死に思い出そうとした。

 あの日、私は殿下と一緒に庭にいて、なにか話をしていた。
 そうだ、お見合いがどうとか話をしていた。

 殿下が結婚したいと言い出して、私はお見合いがあるからと説明して。
 それから……。

 最終手段だ。

 殿下が言った言葉を思い出し、ぞっとした。思わず自分の体を抱きしめる。

 冷たい風が吹いたのは、その言葉のあとだ。
 まさか。
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