凍りついた私は腹黒い王子殿下の執着愛に溶かされる
 私、殿下に殺されかかったの?
 どうして? プロポーズを断ったから? 怒って私を氷漬けに?

 だけど、七歳の言葉を本気にするわけにはいかないじゃない。

 私はさらに自分をぎゅっと抱きしめる。

 運よく解凍の方法が見つかったみたいだけど。

 彼を怒らせたら、また氷漬けにされるのだろうか。そうして、もう二度と解凍されないのだとしたら。

 王子だから、その罪は裁かれることはないのだろう。現に、殿下は今でも殿下として存在している。

 私は恐怖を押さえることができなくなった。





 夕食は殿下の言ったとおり、部屋でいただいた。
 だけど、昨日とは別の理由で緊張して味がしない。

 カトラリーを持つ手が震えてしまい、かちゃかちゃと音を立てた。

「どうしたの?」
 殿下の声に、私はうつむく。

「なんでもございません」
「なんでもないってことはないよね。みんな下がって」

「大丈夫ですから!」
 殿下と二人きりにしないで。
 そう思うのに給仕たちはみな退室し、殿下と二人きりになってしまう。

「なにかあったら言って。君に粗相をしたやつはクビにするから」
「そういうわけではございません」

「じゃあ、なにがあった?」
「なにもございません」

「嘘だよね」
 殿下は席を立ち、私の横にひざまずづいた。その手を取り、私を見つめる。
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