凍りついた私は腹黒い王子殿下の執着愛に溶かされる
「言ってごらん。大丈夫、俺は君の味方だから」
 熱のこもった甘いまなざしに、私はくらくらした。

 いやおうなく、胸が甘く、鳴る。

 殿下は本当に私を殺そうとしたんだろうか。
 だけど殺そうとした相手と婚約なんて、するはずがないよね。

 お詫びにというなら、適当な貴族をみつくろって結婚させればいいって思うはずよね?

 ああ、自分の都合のいいように解釈しようとしている。

 そう思って、気が付いた。

 私……殿下のことが好きになってる。
 だから、殿下が悪かったなんて思いたくないんだ。

 私は意を決して殿下に言った。

「私が凍ってしまったのは、事故ですよね?」
「誰かになにか言われた?」

「そうではありません」
 噂で聞いたなんて言ったら、誰かがクビになってしまう。それは避けたかった。

「私、本当にここにいてよろしいのでしょうか」
「なぜ?」

「私が殿下と結婚するなど恐れ多くて」
「またそれ? もう陛下も許可しているんだから」

「罪悪感から償おうとなさっておられるのでしたら、その必要はございません」
 私の言葉に、殿下はため息をついた。
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