凍りついた私は腹黒い王子殿下の執着愛に溶かされる
「ミネリア、結婚してほしい」
 殿下は真剣そのもので、そのかわいらしさに思わず笑みを浮かべた。

「戯れでもそんなことをおっしゃってはなりません。私が不心得者ならば、お言葉を利用して本当に結婚しようとするかもしれませんよ?」
「子供扱いするな!」

「子供でらっしゃいますよ」
「俺だってもうすぐ婚約者選びが始まるんだ。お前はまだ婚約してないだろ? 俺が結婚してやるからありがたく思え」

「身に余る光栄でございます」
 私はまた微笑した。

「ですが、物事には釣り合いがございます。私ごときが、しかも(とお)も上の私が殿下と結婚するなど、許されることではありません」
「それはもう調べた。過去、年上と結婚した王族はたくさんいる。問題ない」

「殿下は賢くていらっしゃる」
「だから、子供扱いするな!」
 殿下がふくれっ面をするから、なおさら殿下がかわいくて仕方がない。

「俺、このままだと隣国の王女と結婚することになるんだ。お前はそれでもいいのか?」
「素敵ではありませんか」

「俺は嫌だ! ミネリアが好きなんだ。お前は俺をどう思ってるんだ?」
 真摯なまなざしに、私の胸が思いがけずきゅんとした。

 小さくても「男」の部分を持ってるんだなあ、なんて感心してしまった。
 とはいえ、やっぱり弟のようにしか思えないから、そのまま伝えることにした。
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