凍りついた私は腹黒い王子殿下の執着愛に溶かされる
「ああ、無事で良かったわ!」
「お母様?」

「乳母殿、まだ事情を説明していないのですよ」
「ああ、殿下、申しわけございません」
 男性の言葉に、母は涙をぬぐってまた私を見る。その瞳からは涙があふれて止まらない。

「なにがどうなってるの?」
 混乱する私に、母は涙ながらに告げる。
「あなたは十三年間、氷漬けになっていたのよ」
「え?」
 私は首をかしげた。





 それから私たちは殿下の部屋でお茶を頂き、両親から、今の状態を説明された。

 金髪の青年は成長した殿下で、私は彼の魔力の暴発で氷漬けになっていたのだという。

 信じがたい話だったけど、老けた両親、成長した弟、子供のころの面影を残した殿下に、納得せざるを得なかった。

 私の最後の記憶が冷たい風だったのはそういうことなのか。
 だけど、それにしては違和感があるのだけど。

 殿下の魔力が暴発した直前には、なんの話をしていたっけ。
 確か、二人で庭にいたような……。

 頭の中に霧がかかっているようで、うまく思い出せなくてもどかしい。
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