凍りついた私は腹黒い王子殿下の執着愛に溶かされる
「最近になってようやく解氷の魔法が見つかって助けることができたのよ。凍ってしまった人が解氷の魔法で息を吹き返すのは文献で見たことがあったけど、本当に良かったわ」

 ハンカチで何度も目を拭うお母様に胸が痛んだ。知らない間にこんなに心配させていたなんて。

「お姉様、良かった」
 弟もすっかり大きくなっていて、もう立派な青年だ。

「殿下ほどの大きな魔力でなければお助けいただけなかった」
 安堵を浮かべるお父様の髪に白いものが混じっていて、胸がまた痛んだ。

「私の不手際でご迷惑をおかけして、本当に申し訳なかった」
「もったいないお言葉です」
 殿下の謝罪に、お父様が頭を下げる。

「以前申し上げました通り、責任をもって彼女を幸せにいたします」
「どうぞよろしくお願い致します」
 殿下の言葉に両親は深々と頭を下げ、私は目を丸くした。

「どういうこと?」
「あなたは殿下と婚約したのよ」
「どうして!?」
 私の声が思わず大きくなってしまった。

「このあとは私が説明します」
 殿下が言い、両親と弟は了承して退室した。
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