「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
「新婚旅行は絶対に呼び出しはかからないし、ふたりで飲もうか」

「いいですね。楽しみにしています」

 もう順応したらしい美月はにこやかに返事をする。ふたりきりになったら言及されそうだけれど。

 聡子さんは俺たちに多くを質問せず、終始おうように構えていた。

 食事と雑談を二時間ほどで済ませて飛島家を後にし、マンションに戻るとどっと疲れが押し寄せる。

 緊張しているわけではなかったが、それなりに気を張っていたらしい。

 道すがら今日は夜までのんびりしようと美月と決めたので、スーツを脱いでルームウエアに着替えた。リビングにはすでにラフな服装になった美月がいて、キッチンで珈琲を入れる準備をしている。

 手伝おうと隣に行き、グラスに入れる氷を冷凍庫から取り出す。

「本当に、美月は憲明さんに会わなくていいのか?」

 顔合わせの日程を決める段階で、憲明さんへの報告を俺が個人的にすることに関しては美月と聡子さんから了承を得ている。

 もちろん結婚の許しをもらう挨拶となるので電話一本で済ましたりはせず、直接会ってきちんと話をするという選択肢しかない。

 その旨を伝え、聡子さんは難しくても美月は一緒にどうかと誘ったのだ。ただその時、美月は首を横に振っていた。
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