「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
「聡子さん元気そうでよかった。顔色が悪そうに見えたけど、いつもあんな感じか?」

 美月はふたつめのグラスに注ぎながら眉尻を下げる。

「お母さんは昔からおっとりしているし、そこは普段通りなんですけど。ちょっと無理しているなぁと」

「空元気みたいな?」

「そうですね」

 俺たちに心配をかけないよう振る舞ってくれていたのか。気を遣わせて申し訳なかったな。

「お父さんの話題になると表情が曇っちゃうし、やっぱりまだ時間がかかりそうだなぁ」

 ひとり言のように話した美月にそれ以上声を掛けられなかった。

 憲明さんと会うのは二週間後。そこで離婚理由などが聞ければいいのだが。
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