「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
 挙式披露宴の日程もそろそろ決めていかなければならないが、まずは美月の両親に揃って列席してもらえるように働きかけるところから始めないといけない。

 まだ婚前契約書の内容について話し合っていないし、美月のマンションの解約もできていない。

 多忙のなかですべきことがたくさんあってプレッシャーを感じなくもないが、美月と夫婦として生活を送るためだと考えれば、不思議と前向きな感情が湧いてくる。

「休憩したら、結婚式場を一緒に探そう。あと次の休みに指輪を見に行こう」

 ソファに移って珈琲を飲みながら寛いでいる美月に提案すると、こくこくと首を縦に振って顔をほころばせた。

 美月には光が降り注ぐガラス窓のあるチャペルが似合いそうだと、そんなことを密やかに思いながら穏やかな時間は溶けていった。

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