「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
 身近とは呼べない煌びやかなジュエリーショップでは、誰しもが多少浮いてしまうと思う。しかし巧さんはこの豪華さすらも彼の一部にしてしまうほどの存在感がある。むしろ巧さんのために用意された背景のようだ。

 シンプルなベージュのシャツに、ネイビーのジャケットとスラックスというシンプルな服装は、スタイルがよく大人の色気がある巧さんによく似合っている。

 私はこの夏何度も着ているお気に入りの、黒地に小花柄がプリントされたワンピースに半袖丈のブラウンのジャケットを羽織った。

 そろそろ秋服を新調したいところだけれど、お財布って別になるんだっけ。

 婚前契約書は巧さんが用意してくれて、インターネットでどのようなものなのか検索した時のテンプレートとほぼ同様なのを確認し、私から要望はなかったのでそのままサインをした。

 そこに生活費について記載されていたような気もするが、細かな内容を覚えていない。

 まだ婚姻届は提出していないし帰宅したらもう一度目を通そう。流れに身を任せるようにここまできたので、ちょっと結婚というものを軽く受け止めすぎているのでは……。
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