「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
「せっかくだから外で食べていこう」

「そうしましょうか」

「食べたいものとか、気になっているところある?」

 聞かれて、うーん……と首を捻る。

「お店とか、疎いんですよね。洋食が食べたいなっていうのはあります」

 料理するのが好きだし、食べたいものがあれば家でも作れるか挑戦するし、そもそも家でのんびりするのが好きだし、人に誘われなければほとんど外食しない。

「美月ちゃん、和食を作るのが得意だしな」

 洋食が食べたいイコール、普段あまり家で食べないからに変換したのなら本当に凄い。会話の流れからしてそうなのだろうけれど、にわかに信じられないというか。

 警察官って取り調べもするだろうし、洞察力を高める訓練とかしたのかな。例えば心理学を勉強したり、とか。さすがにそれはないか……。

「ちょっと待って。調べる」

 巧さんは近くのレストランを幾つかリストアップしてメッセージアプリに店のURLを貼りつけ、情報を共有してくれた。

 麻美もこういうのが得意で素早く動くけれど、私は苦手なのでとても助かる。

「ここ美味しそう」

 店のホームページに載っている料理の写真を見ていると、「どれ?」と巧さんが私のスマートフォンを覗き込んだ。距離の近さに拍動が強くなる。
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